Die Blaue Nacht

庇うように抱きしめて

誰にも渡したくない小豆さんの短い話。

 抱きしめるたびに、その温かさにひどく安堵し、同時にその華奢さに胸が締め付けられる。
そっと背を撫でれば、くすぐったそうに身を震わせて笑う様に恋情はますます募るというのに、くっきりと指に伝わる背骨の感触に、また痩せてしまったのかと心臓が冷える心地がする。
抱きしめて、抱きしめて、思い切り力が込められない分まで、抱きしめて……それできみを全ての敵から守れるのなら、いくらでもそうしよう。

では、敵などどこにもいないとしたら?
きみを脅かしているのが、ほかでもないきみ自身の体だとしたら?
――たとえそうだとしても、わたしはきみを離しはしない。
この腕にぬくもりがある限り、いや、いつかそのぬくもりを失う時が来るとしても、わたしはきみを、決して離しはしない。