Die Blaue Nacht

名前とクロヴィスの会話

ヤニク亡き後、騎士団を再編するにあたっての二人の会話。

「ああ、異論はない。ヤニクも望んでいたことだからな。――それで、この後はどうする。騎士長は君、騎兵連隊は……」
「騎兵連隊はおそらくジルベール・ロジェが引き継ぐでしょう。あちらにはあちらのやり方があります。基本的な人事には口出しはしません。もともと女王陛下派でしたから、心配はいらないでしょう」
「そうだな。副騎士長のうち一人はロジェ卿、もう一人は君の副官だったか」
「はい。クロヴィス殿も考えたのですが……」
「――だろうな。だが私は典礼騎士団をこのままもらおう。君も私が下に付くよりもやりやすいだろう?」
「ええ、まあそれは……しかしそれでは、あなたがレオンの下に付くことになりますが」
「そうなるな。だが副騎士長は近衛と典礼、どちらも統括することになる。近衛は総入れ替えだ。陛下たちの身辺に置くことのできる、信頼に足る人材が揃うまではそちらに注力することになるだろう。だから、典礼の方は、私がこのままもらっておこう。――相談や報告はするが、基本的に裁量権は私ということにしてもらいたいがな」
「わかりました。よろしくお願いします。それで、その近衛騎士団ですが……今言われたとおり、総入れ替えとします。率いる者が必要ですが、誰か心当たりがありますか」
「……モリエール卿は?」
「アラン殿には断られました。自分は西側を抑えると」
「あの人らしいな。だが確かに適任だ。そうなると……そうだな、一旦任せてもらってもいいか。少し当たってみよう」
「そうだ、君の弟はどうする?中央に呼ぶのか?」
「いえ、ローランは艦隊向きです。こちらに呼ぶより、今のまま港に置いておくほうが良いでしょう」
「それがいいだろうな。適材適所という面もそうだが、君が騎士長、弟も中央で要職に就くとなればいらぬ詮索と軋轢を生むだろう。気を付けろ」
「ご忠告、痛み入ります」

<解説のようなもの>
ヤニクがクロヴィスではなく名前を次の騎士長に選んだのは、クロヴィスが一歩引いたところで俯瞰するタイプで何かのために命を懸ける男ではないから。それは彼の美点でもありますが、今のアーカントに必要なのは命に代えても国を守るという人なので名前になりました。
あと多分普通に名前の方が強いです。クロヴィスは何事もほどほどのところで手を引きがち。
クロヴィスはというとそれもわかっているんですが、ヤニクと名前がどちらも大切なもののためなら命を簡単に懸けられるのを「そういうところまで似なくていいのに」と思っています。