甘星めるあさま(@merua___niki)の企画「Battle of Fairy Tales」に参加したものです。
百鬼夜行
わたし、欠陥品なんだって。
ずーっとそう言われて育ってきた。
わたし、欠陥品なんだって。
だからずーっと鎖に繋がれてた。
うちはね、一族みーんな、「慈愛にみちていて」「正しいことをして」いるんだって。
でもね、わたし、欠陥品だから。
それがどういうことか、わからないの。
あはは、でもほら、見て、見て!これからはわたしが正しいの!
慈愛?正義?それで編まれた鎖が何の役に立つっていうの?ほら、こんなに簡単に千切れちゃった。
あははは、これからはわたしが正義!
みーんな、嬲って、千切って、切り刻んであげる。
落花
やだ。やだやだ。こんなのってない。
儚い花の精は泣きながら逃げる。
いきなり殺し合いを迫られた。やらなければ首が締まるのだと。
だから少女は逃げた。
どこか遠くへ。どこでもいいから、この呪いが効かない場所へ。
とめどなく溢れる涙でもう前も見えない。それでもがむしゃらに前に進んで——ふと気づくとそこは、不気味な森の中。
少女は気付く。私はここで死んでいくのだ。
蜘蛛の巣が少女を締め上げ、真白な骸骨の手が少女を引きずり倒そうとする。
ああ、どうして——
あと少し、早く生まれていたら。そうすれば、静かに安らかに散っていけただろうに。
森が少女を喰らうのが先か。
血のような赤い鎖が少女の首を握りつぶすのが先か。
少女は薄れゆく意識の中で、精一杯に手を伸ばす。せめてもの希望を、最後に残った自身の花を風に乗せて飛ばすように。