Fan fiction, SS, Event

黒兄弟SS

焼き焦がすもの/シリウス・ブラック

男は自分自身の名にかけて決意した。
反抗を表明することしかできなかったあの頃とは違う。他でもないその名を与えられた彼には、今やそうするだけの力が備わっている。
この呪いのように連綿と続いてきた一族を、自身の手によって終わらせるのだ。自分たちが沈まなければ、世界はずっと冬のままだ。新しい世界に、この一族は必要ない。
彼の名はシリウス。全ての星を圧して光り輝く炎。爛々と煌めく獣の眸。


獅子の心臓/レギュラス・ブラック

名を見ればわかる。彼への期待など無いに等しかった。なのに期待されたのは、彼の兄が逃げたからだ。
彼が望んだのは、ただ、家族の平穏。彼の愛するものたちが、平穏に、幸せにいてくれればいい。そのために、自分なりのやり方があるはずだ。
終わらぬ冬などない。光輝なるあの冬の星も、いつかは沈む。春をもたらすのは彼の兄ではなく、彼だ。
彼の名はレギュラス。暗がりにあってなお輝く、真砂なす小さき星々の王。


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